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東京高等裁判所 昭和19年(オ)948号 決定

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告理由は別紙の通りであるからこれに対し左の如く判断する。

原判決の認定が違法であるとか訴訟手続に違法があると云うことを具体的に主張してこれを上告の理由とする場合にはその資料が記録焼失によつて見ることが出来ないときは原判決はこれを維持することが出来ないのであるが(当裁判所昭和十九年(オ)第七九一号事件参照)論旨は、以上の諸点に付調査検討しようとしてもその対象がないと云うのであつて具体的に事実を指摘して原審の違法を攻撃するものでないから適法の上告理由とすることは出来ぬ。又論旨には訴訟記録が存在せざる現在、原審訴訟手続は存在せざるに帰すると云うが原判決の写しが記録にある以上(記録第三三九丁綴)訴訟手続を経てその写しに記載してある通りの判決の言渡があつたものと見なければならぬし、上告人も判決の言渡があつたことを前提として本件上告に及んだものであるから記録が無いからと云うて訴訟手続が存在しないと見ることは出来ぬ。故に本件上告は採容することが出来ないから、民事訴訟法第三百九十六条、第三百八十四条、第八十九条に則り主文の如く判決する。(昭和二四年四月六日東京高等裁判所第六民事部判決)

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